【スニーカーのアッパー素材】天然皮革・繊維・ヴィーガンレザーの種類と特徴

【スニーカーのアッパー素材】革・繊維・人工皮革・合成皮革の種類と特徴

ルッチェのオーダーメイドスニーカーのアッパー素材は革を使います。

革の中でも最高級のもので、この革との出会いがあったから、思い描いたスニーカーを完成させる事ができた経緯があります。

その革が無ければルッチェのオーダーメイドスニーカーは完成しませんでしたし、靴作りを始めて20年以上、良い革は靴の素材として最高だと確信しています。

ところが、最近はサステナビリティという観点から、ヴィーガンレザーの評価が高まり、革が悪者のように言われることがあるので、少し残念です。

ラグジュアリーブランドがサスティナブル素材の開発を進めているというニュースを聞くにつれ、革の評価が相対的に下がることを心配しています。

そこで、様々な素材の中から、スニーカーのアッパーに使われている素材について、あえて主観を混ぜながら、紹介していきたいと思います。

天然皮革

レザースニーカーと呼ばれるように、革で作られたスニーカーは特別で、贅沢ですね。

ほとんどの場合、使用されているのは牛革ですが、その他にはどんな革があるか紹介しましょう。

牛革

ルッチェで使用する革は、ステアと呼ばれる大人の牛の革です

ルッチェで使用する革は、ステアと呼ばれる大人の牛の革です。

非常に大きな革なので、パーツの大きなカバンにも使われます。

上の画像は、180cmの長さのテーブルに手前も奥も載りきっていないのが分かります。

これで背骨を中心にカットした半分ですから、かなりの大きさだとわかります。

厚みがあるけれど柔らかく鞣された、ルッチェのオーダースニーカーに欠かせないこの革は、エルメス社のバーキンにも使われています。

ほとんどの革製品が牛革の理由

牛の大きさや種類によってカーフ、キップ、ステア、ブルなどと名前が変わるのも牛革の特徴です。

子牛から成牛になることで変化していく革の特徴が、様々な加工品に適した素材となること、強度と適度な加工のしやすさ、低価格な革から高級な革まで、幅広く存在します。

ほとんどの革製品が牛革なのはそれらが理由です。

牛革のグレード

素材としての皮を原皮と呼び、皮を革へと変化させることを鞣し(なめし)と呼びます。

原皮の品質や鞣しの技術、仕上げの加工の違いによって、革の価格は変わります。

豚革

よく靴の裏革に使われました。

高級なパンプスで裏革に豚が使われることに驚く方もいますが、豚は薄くて摩擦に強いので、適しているのです。

最近の靴は多くが人工皮革やナイロンになってしまっているので、豚革がかかと部分の裏革に使われているのは高級なパンプスくらいです。

アッパーにも使われますが、毛穴が大きい豚革は、表面をそのまま使うよりも、スエードとして使われることの方が多いのではないでしょうか。

市販されているスニーカーのスエード素材が豚革であることは結構多いです。

羊革

ラム革として知られる羊の皮は、靴ではムートンとして知られることの方が多いかもしれません。

ラム革は柔らかくしなやかなことが特徴で、ある程度の強度があります。

しかし、同程度に柔らかく鞣された牛革と比べると、弱く、レディースの靴に使われることが多いです。

エキゾチックレザー

爬虫類などの革で、革の表面の表情によって、靴に強い印象を与えます。

部分使いされることが多いのは、革自体が小さいこともありますが、希少性ゆえに高級素材であることが多いのも理由です。

天然繊維

スニーカーに使われる天然繊維と言えば綿のキャンバス生地です。

コンバースのオールスターのような、バルカナイズ製法による高温高圧に耐えられる素材で、摩擦に強く、最初はやや硬めですが、履きこなれると柔らかくなって足になじんできます。

革に比べると軽いのが強みでしょう。

靴の素材として使ったことは2度しかないので、作り手としての感想はあまりないです。

合成繊維

ナイロンやポリエステルが靴にはよく使われます。

綿と比べても断然軽く、スポーツブランドのスニーカーやランニングシューズ、各種陸上競技の靴には欠かせません。

発色がよいので、鮮やかな色の靴を作る事ができます。

また、ゴアテックスと組み合わせて使われることも多く、防水機能を備えたスニーカーとして使われることもあるほか、登山靴にも用いられます。

人工皮革

最近よく耳にするヴィーガンレザーの一つで、極細のポリエステルの繊維を使って、天然皮革の構造を再現して作られたのが人工皮革です。

人工皮革と合成皮革(合皮)を同じものだと思っている人が多いのですが、全然別ものです。

ルッチェでは、オーダーのインソールや、オーダーメイドスニーカーの裏地として、東レのウルトラスエードという人工皮革を使います。

人工皮革の特徴

天然皮革と違って素材にムラが無いことと、様々な機能を付与しやすいのが特徴です。

高級な人工皮革では、天然皮革よりも優れていると豪語するメーカーもあります。

人工皮革と天然皮革の比較

両方を使っている私としては、確かに、人工皮革の方が優れている点もあって、質の悪い革を使うくらいなら、高級な人工皮革の方が良いと感じることもあります。

また、革にはできない機能を付与して特殊な素材にすることもできるため、高機能な素材としては天然皮革の及ばない所もあります。

とはいえ、靴のアッパーに使う上で、最高の革と最高の人工皮革を比べた場合、圧倒的にまだ天然皮革の方が優れていると断言できます。

今後が楽しみです。

合成皮革

合成皮革もヴィーガンレザーの一つで、土台となる不織布などに、ポリウレタンを塗布したものです。

人工皮革と同じだと思っている人もいますが、別物です。

合成皮革を使って靴作りをしたことが無いのですが、合皮で作られた商品はよく知っています。

合成皮革の特徴

素材にムラが無く、様々な機能を付与しやすいところは人工皮革と同じです。

とても軽く、多くのスニーカーやカジュアルシューズで使われている。

革のような見た目を出すことが得意です。

経年劣化を起こす。革のような見た目だったものの表面に、ひびがはいるようになり、ぼろぼろと剥がれ落ちるようになって、モノによってはベタベタとしてきた経験はありませんか?そのような変化が経年劣化です。

合成皮革と人工皮革の比較

革のような見た目の素材という点で、人工皮革よりも合成皮革の方が優れています。

価格については、合成皮革の方が安いです。

2つの特徴の最大の違いは経年劣化で、合皮にはあるけれど、人工皮革は月日が経ってもそれほど劣化しません。

製造から3年と言われることもありますが、私の感覚では材料として合皮が作られてから5年ほどで起こってくるのではないかなという感じです。